Google AdSense シンガポール税務情報の「居住者証明書」発行手続きと提出方法=税務署に郵送で請求
2023年夏頃から、Google AdSense においてシンガポールの税務情報を求めるアラートが出るようになった。
しばらく放置していたものの、支払い金額8,000円に達するため重い腰を上げることにした。なお、私が手続きを行ったのは2024年1月のことだ。
端的に言うと、Adsense の契約会社(支払い元の Google)があるシンガポール共和国に対して、自身が日本に住んでいることを証明する「居住者証明」なるものが必要になるということ。
この証明書によって、日本とシンガポールの両国で課税(二重課税)されることを回避できる。
なお、専門家でない私が税制に関するアドバイスを提供することはできないため、より詳細かつ正確な情報は税理士などにご相談いただきたい。
マイナンバーカードや運転免許証はNG、「居住者証明書」が必要
実は、このアラートが出始めた当初、マイナンバーカードや運転免許証で審査を通過したという情報があったため、昨年(2023年)11月に試してみた。税務情報は受理されたものの(上スクショ参照)、確認書類(追加書類)が必要だとされて承認されず審査に落ちる結果となった(下スクショ参照)。
これは税法上の居住地の証明書には、税務署発行の居住者証明が必須になるためのようである。
結果的には、多少面倒ではあるが管轄の税務署で居住者証明書を発行してもらう以外に解決策はない。
居住者証明書の請求・発行は「郵送」で可能
ざっと調べてみると、大多数の人は税務署に直接行って交付の請求をしていた。
しかし、税務署が遠方にある人や平日の窓口時間に行けない人にとってみれば、わざわざ出向くのは時間の無駄でありハードルが高い。即日発行の場合はまだしも、証明書の発行に数日掛かることが通例であり、後日受け取りに出向くとなるとさらに労力が増す。
国税庁のサイト(No.9210 居住者証明書の請求)を調べたところ、郵送でも発行可能ということだったため、今回はその手続きについて解説したい。
交付請求書の手続きで必要なものは下記の通りだ。
- 居住者証明書交付請求書(必要事項を記入したもの:2部)
- 身分証明書の両面コピー(免許証やマイナンバーカード、パスポートなど顔写真付きのもの)
- 切手を貼った返信用封筒(自宅の住所と自身の名前を書いておく)
居住者証明書交付請求書の記入例を載せておくので、参考にして欲しい。
なお、居住者証明書の様式は国税庁のサイトから入手できる。「1 租税条約等の締結国に租税条約に基づき提出する場合」から、居住者証明書交付請求書・居住者証明書(租税条約等締結国用)入力用(PDF/211KB)をダウンロードするとよい。国税庁様式では交付請求書と居住者証明書が一体となっている。
居住者証明書交付請求書に記載する電話番号は携帯電話で問題なく、090や080から記入して良い。また、提出先の国名等はシンガポール共和国(Republic of Singapore)、申述事項のチェックボックスは上から3つまでにチェックを入れておこう。証明書の請求枚数は1枚で良いが、税務署保管用が必須のため実際に送付する枚数は2枚となる。対象期間は空欄にしておいたが、私の場合は特に問題は無かった。
PDF への文字入力は Web ブラウザで直接行うことも可能だが、Adobe Acrobat Reader(無料版)を使用したほうが文字数などに柔軟に対応してくれる。
なお、定形郵便物の場合、通常は84円切手で収まるのだが(執筆時点)、請求時は紙類や返信封筒などの同封物が多く、25g を超える可能性があるため94円切手の貼付を推奨したい(返信用封筒は84円で問題なし。なお、郵便料金が改定される2024年10月以降は、送付・返信ともに110円分の切手が必要になる)。
また、送付状(添え状)を同封したほうがより丁寧であり、税務署担当者の理解を得られて手続きがスムーズに進むと思う(下記テンプレ参照、コピペ OK)。
投函後、おおむね1週間以内には返信物(居住者証明書)が届くだろう。
送付状(添え状)の書き方・テンプレート(一例)
◯◯ 税務署御中 ご担当者様
居住者証明書発行の申請
いつもお世話になっております。
このたび、Google AdSense (Google 広告)より、税務情報を確認するために「居住者証明書」が必要であるという通知を受けました。
つきましては、証明書の発行をお願いいたしたく書類(交付請求書2部+身分証明書のコピー+返信用封筒)を送付させていただきます。
なお、対象期間の指定は特に無かったため空欄にしています。
お忙しい折とは存じますが、お取り計らいのほどよろしくお願い申し上げます。
(最後に住所、名前、電話番号を記載)
提出した居住者証明書は、官印(スタンプ)が押されるほか、整理番号や証明番号および税務署の名前などが記載されて戻って来る。
小さな文字が含まれているため、スキャナーアプリとして優秀な Adobe Scan(無料)で撮影して PDF ファイルとして送信(ファイル名は certificate.pdf にしてみた)。
税務情報のステータスが審査中になれば一応の成功である。審査には最長で7営業日ほどかかる場合がある。ただ、最近は審査中とはならず、瞬時に承認済みになるケースが確認されている。
シンガポールの税務情報提出は不要?
ここまで、シンガポール税務情報提出の対策について書いてきたが、Google のサイトには「シンガポールの免税に関する税法上の居住地情報のステータスによると、現時点ではアカウントが制限されることはなく、お支払いや源泉徴収税に影響することもありません」と記載されており、ただちにより高い源泉徴収率が適用される可能性は低いようだ。ただ、変更が発生する場合に備えておいて損はないだろう。
<参考 URL>
- 税法上の居住地に関する情報、および米国以外の源泉徴収と報告 - Google ヘルプ
- 米国以外の税務情報を Google に提出する - Google AdSense ヘルプ
- 「居住者証明書交付請求書・居住者証明書」留意事項・記載要領(PDF)
投稿日:2024年6月15日
Author:對川 徹 - Toru Tsugawa(https://tsugawa.tv/)
Contact : https://tsugawa.biz/contact/
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