<日経> 国内サイトの6割超で "ダークパターン" を確認

国内主要サイトの6割超でダークパターン

日本経済新聞によると、国内の消費者向け主要サイトの6割以上でダークパターンの仕掛けが確認されたという。

ネット通販などで、消費者の心理的なスキや弱点を突いて、余分な注文や希望しない会員登録などを促す仕掛けが横行している現状が浮き彫りになった。

Amazon ダークパターン

消費者を心理的に欺くことで売上を伸ばそうとする

ダークパターンとは、意図的に消費者を欺いて不利益な行動に導くサイトデザインにおける一連のパターンこと。ネットやアプリなどの商取引において、消費者の意思決定や選択に悪影響を与えることを目的としている。

2010年に英国の UX デザイナーである Harry Brignull 氏によって指摘された。慎重に作り込まれたユーザインターフェースには、視覚的なトリックや心理的なスキを突く手法が盛り込まれており、利用者は無意識のうちに自分にとって不利な行動を取ることを促される。

企業が消費者の心理につけこみ、本来は希望しない行動を誘発することは欧米では違法とされるケースが多く、取り締まりのルール作りも年々強化されている。一方、日本では法整備がまったく進んでいないのが実情である。

今回の日経の調査(2021年3月末時点)によると、国内主要サイト100のうち実に62ものサイトで "ダークパターン" が確認されたという。

知らぬ間に不利な選択=消費者を惑わすトリック

メルマガ配信希望や定期購入に最初からチェックが入っていたり、入会はネットで出来るが退会方法が非常に複雑で分かりづらいなどといったシーンに、誰でも一度は遭遇したことがあるのではなかろうか。

気づかないうちに余分な商品がカートに入っていたり、希望しないサブスクリプションに加入させられたり、「多数の購入希望者が閲覧している」というメッセージを出して購入をあおるなど悪質なケースが目立つ。その他にも、紛らわしい広告を忍ばせたり、契約をしない事がまるで悪であるように心理的に追い詰めるなど、不利な行動へ誘導するパターンはバラエティに富む。

ダークパターンにはいくつものパターンがあり、多くのユーザが心理的、視覚的に惑わされ、誤った方向に誘導される。金銭的なものだけでなく、個人情報の取得(PRIVACY ZUCKERING)やプライバシー侵害など、幅広いフィールドをカバーする用語としても使われる。

Adobe ダークパターン

「最大72%オフ」と記載しながら、実際の割引率はほんのわずかであったり(Adobe のダークパターン)、問い合わせ時にメールアドレスを入力したら勝手にメルマガ購読をさせられたり(Crucial のダークパターン)するなど、誤解を与えるようなデザインやキャッチコピー、手法によって消費者の誤認を生むことは決して正義とは言えまい。

メルマガ購読のダークパターン

非倫理的な行為によって消費者をだまし混乱させて、不当な利益を得ようとする行為に対して、日本国内でも法的に罰する仕組みを構築する必要がある。日本にも特定商取引法や景品表示法など悪質商法から消費者を守る法令があるが、EC サイトでみられるようなダークパターンには対応しきれておらず、現状に見合ったルール作りが早急に求められる。

ダークパターンの具体例

  • 「在庫数が残りわずか」であることを強調して購入を急かす
  • 「他にも閲覧中のユーザが複数いる」と表示して購入を扇動する
  • 「購入期限のカウントダウン」を表示して購入をあおる
  • 退会手続きが非常に複雑、スムーズに解約できない
  • 契約の自動更新のキャンセル方法が不明瞭
  • 一回だけの購入のはずが、定期購入の項目にあらかじめチェックが入っている
  • 紛らわしい設問(チェックボックスなど)によって、誤った選択を誘発する
  • 商品購入や会員登録時、気づかないうちにメルマガ購読をさせられる
  • ボタンの大きさや色を強調して判断を惑わせ、本来の意思とは異なる選択へ誘導する
  • 一見して「拒否」にみえるボタンが真逆の「肯定」を意味する
  • 「あと何分以内に注文すれば明日届く」などと注文をあおる
  • 配送料などの手数料が分かりづらい、または最後の確認ページまで表記されない
  • 不明瞭な価格設定や割引率の虚偽記載により、"偽のお得感" を演出する
  • お得な商品と強調しながら、比較対象を表示しない
  • 会員登録の際、同意を求める文章が非常に長く、また、曖昧な内容を含む
  • 誤ったクリックを誘発して、運営会社が不当に広告収入を得ようとする
  • 本来無料で取得できるはずの情報を有料で販売する
  • 消費者に選択の余地のない独占的な取引を迫る
  • 希望しない契約を心理的に追い詰めて迫る
  • 不要なアップグレードを要求してユーザに不利益を与える
  • 問い合わせ時に入力したメールに許可なくメルマガが配信される
  • 「閉じる」をクリックしたはずが、希望しない広告サイトへ飛ばされる
  • Cookie 受け入れの同意なしに個人の行動データが収集され、同じような広告が繰り返し表示される

Twitter などの SNS において #darkpatterns で検索すれば、ダークパターンの報告が無数に確認できる。「これくらいは許容範囲」と、ダークパターンに慣れてしまった利用者もいるかもしれないが、欧米では規制強化が進んでおり、悪質な場合は政府が企業を提訴することもある。国内でも消費者庁が懲役も含めた厳しい法改正を検討しており、消費者を守る方向性が鮮明になりつつある。企業が自らの襟を正すためにも、消費者の厳しい目が必要であると同時に、自衛するためにも「だまされない知識」を得ることは重要といえるだだろう。

なお、今回、「国内サイトの多くでダークパターンを確認した」と報じた日経新聞も、会員登録時にメール配信を必須にしたり、解約を電話連絡に限るなどといったダークパターンが確認された。同社はすでに、適切なサイトデザインに関するガイドラインを作成しているという。日経グループは今後、運営サイトでの点検および改善を進め、利用者の利便性とサイトデザインの透明性を高めていく方針だ。

最近では、ドコモや KDDI などの大手通信会社が、解約ページを Google などの検索サイトにインデックス(登録)させない仕掛けをしていたとして大きな社会問題になった。違法ではないが、公正かつ自由な競争を阻害する非常に悪質な行為である。

消費者の行動に不利益を与えるようなトリックは、非倫理的な行為として法律でコントロールしていく必要がある。企業はダークパターンに関して自主的な見直しを早急に行うべきだ。短期的な利益を得るがために姑息な手段を講じ、長年にわたって築いてきた信頼のみならず、長期的な利益をも失うリスクに早く気付かないといけない。

<Sources>


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