Google reCAPTCHA 役割変更に伴う実務対応:データ管理者への移行と組織の責務

reCAPTCHA 役割変更に伴う企業対応のまとめ

この記事の要約:2026年4月から reCAPTCHA のデータ責任者は Google から『導入企業』に移るため、企業は自社のプライバシーポリシーを更新し、サイト上の Google への規約リンクを削除するなどの法的な実務対応が必要になる。

※ 本記事は、Google reCAPTCHA の役割変更に関する公開情報に基づき、一般的な実務対応の指針を整理したものである。筆者は法的な資格(弁護士など)を保有しておらず、本記事の内容は法的助言(リーガルアドバイス)を構成するものではないことをご承知おき頂きたい。

決定的な方針転換:データ管理者から処理者への移行

2026年4月2日、Google は reCAPTCHA の提供形態を「データ管理者(Data Controller)」から、企業の委託を受けて処理を行う「データ処理者(Data Processor)」へと変更する。ウェブサイト運営者の役割は、「共同管理者」的な立場から明確な「データ管理者(Data Controller)」へと変わることになり、法的責任と説明責任を全面的に負うことになる。つまり、企業と Google の間におけるデータの主権と責任の所在を根本から再定義することになる。

reCAPTCHA 運用アップデート 2026

企業は Google のポリシーに依存せず、自社の規約に基づいた高度なデータ統制が可能になる。また、利用目的が「セキュリティとサービス維持」に限定されるため、コンプライアンス上のリスクが軽減されるだろう。
一方で、自社のプライバシーポリシーには「Google がデータをどう扱うか」ではなく、「自社がどのような目的で、どのように Google を利用してデータを処理させているか」を主軸に刷新する必要が生じる。reCAPTCHA を利用するユーザーは Google のプライバシーポリシーの適用対象外となるためだ。
今回の記事では、具体的に記載すべき項目と構成案をまとめてみた。

プライバシーポリシーへの記載構成案

これまでの「Google のプライバシーポリシーと規約に従う」という形式から、自社が主体となる記述への変更を行う。

① 利用目的の明記

reCAPTCHA を利用する目的を「セキュリティおよび不正利用防止」に限定して記載。これにより、組織のコンプライアンス表面積を適切に管理する。

記載例: 当サイトでは、スパムや不正アクセスからサイトを保護し、安全なサービス提供を維持するため、当社がデータ管理者として Google が提供する reCAPTCHA を利用しています。

② データ処理の役割と委託関係

自社が「データ管理者」であり、Googleは「データ処理者」として指示に基づき動作することを明記し、責任の所在を明確化する。

記載例: 当社は、収集された情報をセキュリティ脅威の検知および対応の目的でのみ使用するよう Google に委託しています。Google は当社の指示および Google Cloud データ処理補足条項(CDPA)に従い、データ処理者としてこれを取り扱います。

③ 収集される情報の取り扱い

収集されたデータが、Google の一般的な広告目的などに流用されないことを明示することで、ユーザーに対する信頼性を向上させる。

記載例: 収集されたデータは reCAPTCHA の機能維持およびセキュリティ向上のためにのみ使用され、Google の一般的なプライバシーポリシーに基づく他の目的(広告配信など)には利用されません。

運用上の注意点と実務ロードマップ

今回の変更は法的地位の移行を主な目的としており、既存の技術的資産(サイトキーや SDK など)はそのまま継続利用可能だ。管理者は、以下の実務的なアクションを2026年4月2日に合わせて実行する必要がある。

2026年4月 reCAPTCHA 役割変更のまとめ
  • Google 規約への手動リンク削除: サイト上のフッターやフォーム周辺に独自に記載していた「Google のプライバシーポリシー」および「利用規約」へのリンクを削除する。放置した場合、実態と異なる規約をユーザーに提示し続ける可能性があり、監査上のリスクとなる。
  • 実行タイミングの厳守: これらの修正は 2026年4月2日以降 に実施するとよい。4月2日より前に削除してしまうと、Google がまだデータ管理者である期間に法的参照先が消失するというコンプライアンスの空白期間が生じるためだ。
  • 外部送信規律への対応: 改正電気通信事業法等に関連し、情報の「送信先」としての説明を整理している場合、Google の役割が「処理者」に変わることで、自社の管理責任に寄せて開示内容を再定義する必要がある。
  • バッジ非表示ルールの確認: これまでバッジ非表示の条件として Google 規約の掲載が義務付けられていたが、変更後の新ルールについては今後 Google より公開される FAQ を注視する必要がある。

日本の外部送信規律(改正電気通信事業法)への対応

日本の外部送信規律(改正電気通信事業法)における扱いとしては、reCAPTCHA は多くの場合「サービスの提供に不可欠な情報の送信(セキュリティ対策・不正利用防止)」として、通知や公表の義務が免除される例外規定(電気通信事業法施行規則第22条の2の2第1号ハ等)に該当すると解釈されている。今回の Google の役割変更(データ管理者からデータ処理者への変更)は、この「不可欠な送信」としての性質をより強めるものと考えられる。法的に必須ではないものの、透明性のためにセキュリティ目的の送信として開示しておいて損はないだろう。これにより、サイト運営者が「自らの責任でデータを管理している」という姿勢を明確に示せるためだ。

今回の移行は、企業が自社のデジタル資産とユーザーデータに対する統制権を確立するための重大なマイルストーンといえる。適切な実務対応を通じて、透明性の高いコンプライアンス体制の構築を実現したい。

<参考 URL>

注意事項

記事内のプライバシーポリシーの具体的な記述内容や、各国の個人情報保護法(GDPR、日本の改正個人情報保護法、電気通信事業法等)への準拠状況は、事業者の性質や取り扱うデータの範囲によって異なります。実際の規約改定および実務対応にあたっては、本記事の内容を鵜呑みにせず、必ず貴社の法務部門、または弁護士などの専門家にご相談の上、最終的な判断を行ってください。本記事の情報を用いて生じた損害などについて、筆者は一切の責任を負いかねます。

投稿日:2026年2月6日

Author:對川 徹 - Toru Tsugawa(https://tsugawa.tv/

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