AbemaTV 将棋チャンネル、独自 AI「SHOGI AI」をローンチ="勝率" で形勢判断

ABEMA が本気出す?= "世界最強クラス" ABEMA SHOGI AI - 個性の異なる3つの最強 AI が「ベストな一手」をひねり出す

<この記事は ABEMA SHOGI AI 誕生から 2021年4月の最新情報まで随時アップデート中!>

ABEMA SHOGI AI "誕生"

AbemaTV は2019年11月29日、開局3周年記念の一環として、将棋チャンネルにおいて独自の将棋 AI人工知能)によるリアルタイム形勢判断の導入をローンチした。

この AI は「SHOGI AI」(ショウギ・エーアイ) と呼ばれており、2019年11月29日の朝日杯将棋オープン戦から運用開始となった。

SHOGI AI の最大の特徴は、従来の評価値に代わって「勝率」による形勢判断を行うという点と、得意分野が異なる(居飛車が得意、振り飛車が得意など)3つの AI エンジンを搭載して、最終的に「SHOGI AI」が最善手をチョイスするという「マルチ形勢 AI」(合議制)の採用だ。

ABEMA は、『3つの AI が同時に局面を判断することで、より正確な形勢判断と候補手を表示できる』としている。

基本的に予想手は5通りで、Best (最善手)から第5候補までが表示される。また、対局者の指し手について、数字とは別に「好手」や「悪手」などといった "人間" 的な評価も表示される仕組みとなっている(AI インフォメーション)。
さらに、形勢の変動を折れ線グラフで確認可能だ。

従来の将棋ソフトでは、評価関数から +300 や -1,500 などの数値(評価値)で形勢判断を表していたが、SHOGI AI では、「60% vs 40%」などのように「勝率」(パーセンテージ)でどちらが優勢か、勝ちやすい形勢かを示す。

双方 50% が "互角" で、形勢が良い方に数字が増えていく。
このパーセントは手番の棋士が最善手を指した時の数値を表すため、最善手以外の手を指すと必然的に勝率は下がることになる。
なお、詰みや勝ち(必至)がある局面だと 99% が表示され、また、詰みが生じた場合は詰みまでの手数も示される(詰みがある場合であっても 100% にはならない。最大で 99%)。

ABEMA ではこの勝率表示を「勝率ウインドウ」と呼んでおり、100% vs. 0% にしない理由として、『人間はミスをする可能性があるため』としている。

AbemaTV SHOGI AI

ABEMA は、このオリジナル AI について「世界最強クラス」としているが、どのようなソフトがどのような環境(コンピュータ)で構築されているかなど、具体的なシステムや解析方法について、現時点では明らかにされていない(プログラマーのやねうら王さんはノーコメント)。

また、読み筋(候補手から先の手順)は表示されず、あくまで「(次の一手の)候補手のみ」が表示される仕様となっている(Updateアリ: 後ほど新機能を随時追記)。

アベマ 棋 AI 候補手

アベマは『番組を見た時にすぐ形勢がわかる』点や『(パーセント表示は)初心者でもわかりやすく、また将棋に詳しい方もより対局を楽しめる』点などをメリットとして挙げているが、コンピュータソフトによる形勢判断を好まない視聴者も一定数存在する。
ただ、解説者の付かない番組時(通称「デデン」)であれば、形勢判断の導入を歓迎する声の方が圧倒的に大きそうだ。

個人的には、(現在の配信形態では難しいとは思うが)AI 判断の表示・非表示を切り替える機能と、候補手から先の「読み筋」を表示できる機能の追加を希望したい。
ただ、スマホ画面だとスペースが限られるため、ソフト解析専用のチャンネルを追加するのはどうだろうか(Update: 読み筋機能は追加された)。


将棋AI 合議制の仕組み
SHOGI AI 合議制の仕組み

3つの AI を使用しているためか 表示が遅く、人間の指し手に付いて行けないシーンが目立ち、さらに、運用初日には終盤にソフトがダウンする事象も見られた。また、詰みの発見にも時間が掛かり、手数表示も最短でないケースがあった模様(運用当初)。
"世界最強" を謳うにしては、「やや物足りない」という印象を受けた。
もちろん、時としてソフトも読み抜けや詰みの発見ができないなどの欠点が存在する。

執筆時点で、朝日杯以外の棋戦でも採用されるかは不明だが、直近の叡王戦(2019年12月1日)や順位戦(同年12月2日)では採用されなかったため、今のところ、ABEMA 独占配信番組(朝日杯やAbemaTV トーナメントなど)に限定されるようだ(Update: 下部に記事の更新アリ)。

まだ始まったばかりのため、UI やシステム再構築などを含めて今後のアップデートに期待したい。

なお、理由は不明ながら、2019年12月5~6日に開催された朝日杯に、SHOGI AI は採用されなかった。

その後も採用が見送られているが、明確な説明はなされていない。

<Update 1>

2019年12月23日の週から SHOGI AI 採用が復活。
やはり、アベマは何かしらのバグフィックス(不具合の修正)やシステムの見直しを行っていた模様。

ただ、依然として、早指しにはなかなか追い付いていけない弱点があり、また、指し手(手番)側にやや有利に振れるなど、いくつかの問題点が見え隠れする。また、グラフ表記の正確性に欠けたままだ(2019年12月23日時点)。

<Update 2>

解説アリのプログラム(2019年12月27日:第61期 王位戦 予選 斎藤慎太郎七段 VS. 藤井聡太七段)にも 将棋 AI が初めて登場した。

"常時表示" では無かったが、今後は解説者アリの番組や朝日杯以外の棋戦においても、幅広くソフト判定を活用していく方針のようだ。

Abema 将棋 AI

ニコ生の将棋放送のような読み筋が表示されないため、プロの解説者であってもソフトの読みを理解できないシーンがみられた。
複数ソフトの "合議制" が原因で、読み筋をまとめ上げるのが難しいのかもしれないが、次の一手のみだと物足りなさを時として感じる(記事下に Update アリ)。

また、あくまでも「勝ちやすさ」を判断して数値化しているため、従来の将棋ソフトの評価値と比べて、正確に形勢判断をしづらい側面もある。

目安としては勝率「10%」分が、従来の評価値でいえばおよそ 300 相当になるようだ(判断する局面や比較するソフトによって異なる)。

感覚としては、10% 差(55% vs 45%)で「やや有利」(従来の評価値で 300差=やや指しやすい)、20% 差(60% vs 40%)で「有利」(評価値 600差=かなり指しやすい)、30% 差(65% vs 35%)で「優勢」(局面的にハッキリ良い)、50% 差(75% vs 25%)を超えてくると「勝勢」(間違えなければ勝ち)という形勢判断になると思う(下図参照)。

ただし、あくまでコンピュータによる数字上の形勢判断であり、本当の "勝勢" は「90% vs 10% 以上、かつ時間的に余裕がある時」とするのが人間的に正しいだろうか(Update:2020年末に行われたA級順位戦で、羽生九段が 94% の勝勢にありながら、秒読みに追われて投了するという衝撃的な場面もあった)。


Abema SHOGI AI 形勢判断の目安
ABEMA SHOGI AI 形勢判断の目安

もちろん、将棋は「逆転のゲーム」であり、特に人間同士の戦いでは形勢(勝率=評価値)が二転三転する。
いくら勝勢であったとしても、特に終盤になれば、わずか一手のミスで評価値は大逆転する。これまでに何度も見てきたシーンだ。
そして、数値が大きく動くと ABEMA のコメント欄が大いに盛り上がる。現代の将棋放送における醍醐味の一つといえようか。

<Update 3>

ABEMA SHOGI AI 正式リリース

ABEMA は2020年1月15日、1月16日より「将棋チャンネル」において、オリジナル AI システム「SHOGI AI powered by AbemaTV」を正式導入すると発表した。


SHOGI AI powered by AbemaTV

特に説明は無かったが、これまではあくまで「試験的な」運用という位置づけだったようだ。
以下がプレスリリースの概要になる。

SHOGI AI」は、将棋の対局を AI により自動で形勢判断するシステム。既存の将棋コンピュータソフトと違い、3つの AI が同時に局面を判断する「マルチ形勢 AI」を AbemaTV 独自に採用することで、より正確な形勢判断と候補手を表示することができる。
今までわかりづらかった形勢を勝率で表し、グラフで即座に反映するほか、指し手を評価する「AI インフォメーション」も搭載している。

なお、2020年1月16日は、C級1組順位戦(藤井聡太 七段 vs. 小林裕士 七段)を放送する。

同局は「SHOGI AI」を通して、将棋参加人口の門戸を広げ、より多くの視聴者にお楽しみいただけるよう努めたいとしている。

SHOGI AI powered by AbemaTV 基本レイアウト

2020年1月16日より「正式導入」ということだったが、これまでの SHOGI AI と比べて、特に大きな変化は見られなかった。

面白い企画としては、AI の次の一手を当てるクイズが行われた。

アベマ 将棋 AI 次の一手

このほかに、「BEST」などが表示されるスペースに、指し手判断とは別に、「互角」などの形勢判断も時として表示されるようになった。

これまでよりも「早指し」に少し対応できてきたように思うが、合議制のためか候補手がなかなか定まらないのは大きな欠点。一分将棋になると対応が厳しい状況だ。手番の方に形勢が傾きがちなのも改善されていない(2020年1月時点)。

また、「5八金」などの場合、4九の金なのか、6九の金なのか、はたまた持ち手の金打つなのかなどの区別ができない。これは駒の「元の場所」が表記されないためだ(Update: 「寄り」、「引き」、「右」などは表示されるようになった)。

読み筋表示については、できれば対応して欲しい。次の一手だけではどうしても不十分に感じる(記事下に Update アリ)。


SHOGI AI ロゴ表示
"SHOGI AI" ロゴ表示



再生時に AI 常時表示
再生時に SHOGI AI 常時表示

最後の倍速再生時に、AI が常時表示されるのは良い試みだと思う。対局を振り返る際の満足度が高く感じる。


<Update 4>
ここ最近、間違いなく強くなったと感じる。
まだまだ安定性には欠けるが、短時間に正解手を見つけ出すことが多くなった。
棋戦についても、当初は朝日杯のみの試行運転だったが、2020年に入ってからは、竜王戦や名人戦をはじめ、ABEMA で放送されるプログラムには AI 判定がセットになった。


2020年2~3月以降は、早指しにもかなり対応できるようになっており、数あるソフトのなかでも「最強クラス」または「トップクラス」といっていいかもしれない。
おそらくはソフトウェアだけでなく、ハードウェアもかなり調整したのではないだろうか。

ただし、「最終盤」の「1分将棋」への対応が依然として安定していない。致し方ないのだろうが、数値が安定するのにかなりの時間を要することがある。また、勝率 90%台 で最善を指した直後に「50% - 50%」と表示されるバグも見受けられる(Update : この不具合は解消された模様)。 最終盤だけは合議制を取りやめて、詰みや寄せを読む速度を優先させてはどうか。

完ぺきでないからこそ、コメント欄などが盛り上がるという別の要素もあるが、合議制など独自システムを取り入れていることもあり、内部の仕組みや構成を公開して欲しいと感じる(できれば一度、現場を取材したいと思う)。

遠山雄亮六段は ABEMA の番組内で「AI はそんな手ある?というのを示すことがある。将棋にはまだまだ知らない手が山のようにあって、そういう発想を見るのも面白い」と評価。


トッププロであっても将棋ソフトに一発も入らない時代になり、多くのプロ棋士は家でソフトを相手に研究を重ねている。

ただ、将棋の面白さは数字には到底置き換えられない奥深いところにあると思うし、もちろん、必勝法なども存在していない。

将棋界発展のために、将棋ソフトはどのような役割を担うのだろうか。

今後も ABEMA の将棋 AI を追っていきたいし、さらなる進化にも期待したい。


<Update 5>

SHOGI AI がアップデート=最大5手先までの読み筋を表示

2020年6月28日に行われる第91期ヒューリック杯棋聖戦第2局(https://abema.tv/channels/shogi/slots/CwYrWRYrx8QyqR)より、SHOGI AI において「次の一手」だけでなく、各候補手に対して「最大5手先までの読み筋」を表示する新機能が搭載された。
やはり、次の一手だけでは満足できないという声が多く寄せられたようだ。

同日、挑戦者の藤井七段はスーツではなく、タイトル戦では初めての和服姿で登場。
なお、対局開始から1時間が経過したが AI は一度も表示されていない。何かしらのバグ(不具合)が発生した可能性があるかもしれない。

10時15分過ぎ、ようやく新機能搭載の SHOGI AI がこの日初めて表示された。


SHOGI AI 5手先までの読み筋を表示
画面下に5手先までの読み筋を表示

読み筋は画面下部のバーに表示される。
Best から第5候補まで、それぞれの候補手に対して、最大で5手先までの読み筋が順次示されるようになった。
なお、28日現在、すべての手順が5手先まで示される訳では無く、ケースバイケースで4手先までしか示されないこともあった。

この読み筋は想像以上にスムーズに表示されており、表示位置も邪魔にならない一番良いエリアを選んだのではなかろうか。
画面上の情報量は大幅に増えたが、ストレスを全く感じない UI だ。


SHOGI AI 各候補手の5手先までの読み筋を表示
各候補手の5手先までの読み筋を示す


5手先までの読み筋を表示
読み筋表示バー


ABEMA 将棋チャンネルの最高技術責任者である藤崎智氏が昼休み中に登場して、新機能の AI 読み筋機能について、28日午後から一部修正を行うと発言。
具体的なバグの個所には触れなかったが、何かしらの微調整を行うとみられる。


4手先までの読み筋を表示


理由は不明ながら、28日午後以降、読み筋を最大4手に設定し直したようだ。
午前中は最大5手、候補手によって4手までの読み筋が表示されていた。何か技術的なトラブルが生じたのかもしれない。
また、読み筋の表示は上位候補手(Best と第2候補)のみに絞られた。


倍速再生時 AI 読み筋表記
倍速再生時 AI 読み筋表示

対局終了後の倍速再生時、読み筋の手順が常時表示された。
この日の視聴者数は370万を超える大盛況となった。

なお、同日 ABEMA で放送された 将棋日本シリーズ JT プロ公式戦一回戦第一局(羽生九段 vs. 久保九段)では SHOGI AI は採用されなかった。


2020年7月1日に行われた第61期王位戦第一局(木村王位 vs. 藤井七段)の放送には、SHOGI AI が実装された。

将棋AI、第2候補手まで読み筋を示す


この日も、読み筋は Best および第2候補のみ、手順は4手先まで示された。

やはり、5通りの候補手すべてに対して5手先までの読み筋を表示させるのは、安定性や速度面からやや難しいのかもしれない。

ただ、従来よりも候補手が表示される頻度がやや減ったのは気になるところだ(解説アリの放送では、序盤の AI 表示頻度を減らす方針の模様)。

遠山雄亮六段は放送内で「AI は時として、"この後どうするんだよ" という手を候補手として示すことがあるが、そういう時に(読み筋機能は)助かる」と評価した。


王位戦第一局2日目、SHOGI AI の終盤の読み筋に狂いはなく、安定性の高さを見せつけた。
ただ、中盤の "手の広い" 局面ではベストな一手を 100% 示せているのか言われればそうとも限らない。特に、藤井七段が61手目に放った放った5三銀は上位の候補手に挙がっていなかったが、この一手が終盤の必勝形への足掛かりとなった。4四桂以下はほぼ一直線の進行だったため、この5三銀が勝利を引き寄せる一手だったといえる。
この時、SHOGI AI は4九金打や3八金打と馬に当てながら自陣に手を入れる候補手を示していた。ちなみに、5三銀は5番目の手で -14% の評価。AI は「互角に戻る」と判断していた。


2020年7月13日に行われた第61期王位戦第二局1日目(木村一基王位 vs. 藤井聡太七段)の放送でも、序盤(午前中)は SHOGI AI の「候補手」は全く表示されなかった。
解説有りの放送の "序盤" は、勝率(パーセンテージ)こそ表示されるものの基本的に候補手を示さない方針なのかもしれない。
将棋連盟や視聴者から要望があったのかもしれないし、当日の解説陣の意向が働く場合があるのかもしれない。または、進行を見ながら、予想手が候補手とほぼ一致の状況が続く序盤は、あえて AI を出さないという可能性もある。

いずれにせよ、プロの序盤で大きく差が開くことはほぼ無く、「どのように指しても一局」というケースが多く、戦法にもよるだろうが候補手はある程度進んだ局面からで良いと思う。特に、この日は序盤の指し手が "手広い" 相掛かり模様になったというのもあるうえ、王位戦は2日制の長丁場でもある。

ただ、個人的には AI の「次の一手」を知りたい局面もあれば、逆に、自力で考えたい時もあるため、理想を言えば、候補手や勝率の「表示・非表示」ボタンの実装を希望したい。
最新のコンピュータソフトは例え序盤であっても、定跡を外れた意外にも洗練された読み筋を示すことがある。もちろん、プロの解説先生方の構想を聞くのは興味深く、これを否定するものでは全く無い。

解説を務めた中川大輔八段は「AI を使って必ずしも誰もが強くなるわけでは無い。AI に依存すると、自分で考えなくなるのが怖い」と述べていた。


王位戦 SHOGI AI 読み筋
王位戦第二局、1日目午後にようやく AI 候補手が登場=「千日手」を示唆

なお、この日の読み筋機能については、5手先までの手順が表示された(上スクショ参照)が、表示頻度は少なかった。読み筋は Best の候補手のみで手順は5手先まで。

王位戦第二局2日目の午前中も AI の候補手は示されなかった。棋戦によっても AI との付き合い方が異なるのかもしれない。


王位戦第二局 AI 表示
王位戦第二局2日目、14時半過ぎに候補手と読み筋が表示

ただ、終盤は候補手および読み筋(Best のみ5手先まで)がほぼ常時表示された。

最後の最後、勝勢だった木村王位に痛恨のミスが出て、藤井七段の大逆転勝ちとなった。木村王位はもう少し時間を残しておきたかったか。最後は時間にも追われた。わずか一手のミスで勝勢から敗勢へ。もちろん、藤井七段の諦めない姿勢がこのような結果を引き寄せたといえる。改めて、将棋の怖さを思い知らされた。


王位戦 終盤 SHOGI AI 読み筋
王位戦第二局、勝勢だった木村王位に痛恨のミス(AI によると ▲4二歩が敗着)


なお、ABEMA が独占放送している第14回朝日杯オープン戦(解説無し)については、候補手(5通り)と読み筋(Best のみ最大4~5手先まで)がほぼ常時表示されている。

Best の読み筋に千日手が生じた場合、上部の勝率バー部分と候補手において「読み筋千日手」と通知され、実際に千日手の手順になった場合、指し手の下に千日手成立までの手数が示されるようになった(下スクショ参照)。


読み筋千日手





千日手成立までの手数表示


さらに、形勢を大きく損なう候補手に対してはパーセントが赤字で示される。


注目を浴びた2020年7月16日開催の第91期棋聖戦第四局(渡辺明棋聖 vs. 藤井聡太七段)では、午前10時過ぎに候補手と読み筋(Best のみ4~5手先まで)が示され、2日制の王位戦より早いタイミングでの AI 登場となった。
藤井七段は中盤までやや劣勢だったが、終盤で抜け出して史上最年少(17歳11か月)でのタイトル獲得となった。
渡辺棋聖は指しやすい局面が続いたが、中盤以降受けに回ってからやや変調だったようだ。惜しくも敗れた渡辺三冠は終局後、「(このシリーズは)中終盤の競ったところで負けた。すごい人が出てきた」と感想を述べた。
この日の終盤も藤井七段の正確な差し回しが際立ち、2日前の王位戦大逆転劇からの流れが初タイトルを引き寄せた。
SHOGI AI はほぼ完ぺきに近い読み筋を披露した。印象に残ったのは△9四桂馬に対して、▲5七銀とする候補手で、この手順を進めれば先手の渡辺三冠の指しやすい局面が続いていたようだ。



個人的には今回の読み筋機能の追加を歓迎したい。
これまでは、次の一手から先の読み筋を確認するために、自分でコンピュータソフトを立ち上げていたが、新機能の搭載によって将棋放送をより気軽に楽しめそうだ。クオリティに関しても、私の使用している将棋ソフトより質が高い。

ABEMA は「今後も SHOGI AI は進化を続ける」と述べ、さらなる改良を目指すと意気込んでいる。


<Update 6>

SHOGI AI、持将棋成立までの点数表示機能を追加

ABEMA SHOGI AI は2020年7月28日、「持将棋」成立までの点数表示機能を新たに追加した。
入玉模様になった終盤、点数が足りるかどうか(24点までの過不足)を瞬時に見分ける機能として重宝しそうだ。

ABEMA SHOGI AI 持将棋成立までの点数表示機能
持将棋の点数計算機能を追加

双方入玉した状態で両者の点数が24点以上ある時、両者合意のもと「持将棋」(引き分け)となって指し直しとなる。なお、両者の合意が無い場合、手数(500手)または入玉宣言法で勝敗や引き分けを決することもある。


<Update 7>

SHOGI AI、ノード数表示機能を追加

ABEMA は2020年8月4日、将棋チャンネルで提供している人工知能「SHOGI AI」に "ノード数表示機能" を新たに追加した。
これにより、どれだけの手数(局面)を読んだ状態で候補手を出しているのかが分かるようになった。


SHOGI AI、ノード数表示機能を追加
ノード(Node)数表示機能を追加


将棋 AI ノード数表示
何手読んだ状態か(ノード数)を表示


ABEMA 将棋チャンネルの最高放送技術責任者である藤崎智氏は、「AI は疲れを知らないが、人間は疲れてくる。接戦になった終盤にはパーセントを調整している」(ABEMA ヒルズ)と述べ、AI の判断に "人間味" を持たせていることを明らかにした。


ABEMA SHOGI AI システム


SHOGI AI はこれまで、メモリオーバーによるダウンが2回あるとのことで、藤崎氏によると「藤井棋聖があまりにも不思議な手を指した」ことによるものだという。藤崎氏はこれを「AI 超え」と指摘したうえで、新しい将棋中継の楽しみ方として、AI の候補手にない手を指した時にこそ注目して欲しいと述べた。

<Update 8>

ABEMA SHOGI AI 大型アップデート=「高速」+「最強」+「振り飛車対応」

ABEMA は2021年2月8日、将棋チャンネルで導入している将棋人工知能「SHOGI AI powered by ABEMA」について、大型アップデートを実施するとアナウンスした。翌2月9日の対局より実装される。

SHOGI AI powered by ABEMA 2021大型アップデート

今回のアップデート内容は大きく分けて3つ。
まずは、PC の刷新。1秒間の解析能力が1,000万手から4,000万手になるという(従来より約4倍の速度で解析可能)。ABEMA のプレスリリースで『藤井王位・棋聖も使用』と言及されていることから、CPU として AMD Ryzen Threadripper 3990X(64コア / 128スレッド)を搭載したようだ。

二つ目は「世界最強クラスの新エンジン」の導入。この新エンジンは、2020年世界コンピュータ将棋オンライン大会優勝の「水匠」に6割の勝率を誇るという。ただ、どのようなソフトなのかは不明。

最後は「振り飛車 AI」の導入。従来の評価値は振り飛車の形勢が総じてやや不利になることが多かったが、振り飛車の勝率を考慮したうえで、より正確な勝率が数値化されるという。また、候補手についても精度を高めて、振り飛車特有の読み筋が加わる。

ABEMA は『SHOGI AI を通して、今後も将棋参加人口の門戸を広げ、より多くの方にお楽しみいただけるよう努めてまいりますので、ご期待ください』としており、さらなる進化を目指す。

<2021年 ABEMA SHOGI AI インターフェース>

ABEMA SHOGI AI 2021年インターフェース

SHOGI AI のインターフェースにも若干の変化が施されており、最善手とノード数(読み込んだ局面数)は上部の勝率バー内に収納され、また、最善手に対する読み筋は「最大12手先」まで表示されるようになった。CPU のアップグレードによって、短時間に長手数の読みが可能になったのかもしれない。
ただ、棋戦によってはノード数の表示が省略されたり、読み筋の手数が短くなることもある。

NHK 杯も AI による形勢判断導入="勝率" 表示を採用

2021年度(第71回大会)NHK 杯テレビ将棋トーナメントでも AI による評価が表示されるようになった。

将棋 NHK 杯 AI

NHK 杯の AI による優劣の判断は、評価値ではなく勝率で表示される。

ABEMA SHOGI AI 開発責任者の藤崎氏は、『(ABEMA 将棋チャンネルでの)導入直後は「評価値の方がいい」という方が大半でしたが今では「パーセントがあるおかげで初心者でも将棋がよくわかるようになった」と好評頂いております。子供の頃からずっと見ていた NHK の番組で「AI の勝率表示」が採用されたことは感無量です。大げさに言うと「将棋400年の歴史に爪痕を残せた」という気持ちです』と述べ、NHK 杯でも "勝率" による形勢判断が採用されたことに喜びを隠せない。

藤崎氏は勝率表示によるメリットとして以下の点を挙げている。

  • 分かりやすさ
  • 新たなファンの開拓
  • 長時間でも放送が見られる
  • いつ視聴を始めても瞬時に状況が分かる
  • 放送スタッフの心構えができ、放送品質の向上につながる

同氏は『AI では判断できない人間 VS 人間という対局をさらに面白く見るためのツールとして勝率表示を見てもらえると幸い』としている(ABEMA TIMES)。

ABEMA SHOGI AI を追い続ける

次々に "新手" を繰り出す ABEMA SHOGI AI が、今の将棋人気の一翼を担っているのは間違いないだろう。藤井聡太二冠効果もあって、ABEMA で一番熱いのは将棋チャンネルといっても過言ではない。今後も SHOGI AI を注視していく。

Author:對川 徹 - Toru Tsugawa(https://tsugawa.tv/

Contact : https://tsugawa.biz/contact/

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<参考記事>

一部画像クレジット:(C)AbemaTV,Inc.

執筆責任者:對川 徹


コメント

  1. 完成度はまだまだですが、解説なしの時はかなり参考になります。
    読み筋を出せるといいのですが、合議制だから少し難しいんですかね。

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