Savage、「Procreate は Mac で提供しない」と表明

Procreate は iPad 専用アプリ

Apple は開発者向けイベント WWDC 2020 の基調講演において、Mac コンピュータのプロセッサを Intel 製チップ から 独自設計の「Apple シリコン(M1)」(ARM ベース)へ移行することを発表した。
2020年末に最初のハードウェアが投入される予定だ(<Update> M1 チップ搭載 Mac として MacBook Air、MacBook Pro、Mac mini が投入された)。

発表のなかでもっとも注目されたことのひとつは、最新 macOS Big Sur では、iPad アプリが Apple シリコン搭載 Mac でこれまで以上に容易かつ完全にネイティブ動作するという点だろう。

前世代の macOS Catalina と共にアナウンスされた Mac Catalyst に、新たな API が追加されることによって、アプリ開発者はこれまで以上に Mac への移行が容易になる。また、アプリの外観や解像度、動作などを総合的に制御可能となり、Mac App Store で配信することもできる。

Procreate は Mac へ移植せず

「Mac 版 Procreate はリリースしない」

Apple のアナウンスを受け、iPad 向けに人気イラストアプリ Procreate を提供する Savage Interactive の ジェイムズ・クーダ CEO(@Cuda)は2020年6月23日、「Mac は iPad のようにマルチタッチや Apple Pencil が利用できない。iPad こそが描画にとって最も "しっくりくる" 環境である」と述べ、Mac コンピュータへの同アプリ提供を行わない姿勢を示した。

アプリ開発者は iPadOS 向けアプリに大きな修正を加えることなく Mac プラットフォームへ容易に移植可能となるが、「Procreate は Mac App Store では提供しない」ことと、「Procreate はあくまで iPad オンリーのツール」であることを明確にしたといえる。
開発者は Mac App Store でアプリを公開するかしないかの "選択権" を持つことができる。

ただし、現状では iPadOS のみが排他的にサポートされており、他のプラットフォームで Procreate を使用することはできない。

「Mac 版 Procreate を求める声には耳を傾けている」

同社はこれまでにも、Windows PC 版や Android 版の提供を行う予定はないと明らかにしてきた。そもそも、Procreate を開発するきっかけとなったのが iPad の登場だったためだ。

ただ、Procreate のディスカッション・フォーラムには Mac コンピュータへの対応を求める声が数多く寄せられている。

開発元の Savage サイドも同フォーラムのなかで、「(Mac 版アプリ投入を求める)意見には耳を傾けている」としており、今後の展開次第では Mac App Store での提供の可能性がまったくのゼロではないとも読み取れる。

同社トップのクーダ CEO は「(Mac へのアプリ提供は)確かにビジネスチャンスではある」ことを認めつつも、現状では iPad こそが Procreate にとって、最高のプラットフォームであると確信しているようだ。

M1チップ搭載 iPad Pro が登場

Apple は2021年4月20日(米国時間)、Mac コンピュータ向けに開発したチップ "M1" 搭載の新しい "iPad Pro" を発表した。Procreate は次期バージョン 5.2において、M1 搭載 iPad Pro に完全最適化させる予定だ(Update アリ)。

iPad Pro と Mac が "M1" という同一の Apple シリコンを搭載することにより、iPad Pro でも macOS が将来的に使用可能となるのではないかというプランも期待されたが、Apple は否定。今後も "異なる製品ライン" として提供される予定である。

<Update>
Savage は2021年5月28日、M1 搭載 iPad Pro 向けのアップデータを公開した。最大4倍の処理速度を実現するとともに、利用可能なレイヤー数も増えるいう。
ただし、新型 iPad Pro の大容量メモリ(8GB / 16GB)を十分に活かし切れない事情があるようだ。
MacRumors によると、アプリが利用できるメモリ容量が 5GB に制限されているため、M1 搭載モデルのポテンシャルを活かし切れていないとされている。
この辺の "ちぐはぐさ" をみると、iPadOS の限界を感じざるを得ない。

それでも Mac / PC 版を求める声は絶えない

Procreate、Mac / PC のサポートを求める声

Twitter や Facebook などでは、Procreate の公式アカウントに対して「コンピュータへの対応を求める」という要望が絶えない。
ただ、その都度、iPad 以外のプラットフォームへの拡大を否定しているのが現状である。

次期 "macOS Monterey" の「ユニバーサルコントロール」でシームレスな連携が可能に

2021年秋に公開予定の "macOS Monterey" に搭載される新機能「ユニバーサルコントロール」を使うことで、Procreate が Mac コンピュータとこれまで以上にシームレスに連携可能となる。Apple が WWDC21 で明らかにした。

macOS ユニバーサルコントロール、Procreate と Mac が連携

「ユニバーサルコントロール」は Mac のトラックパッドやマウス、キーボードを使って iPad と連携する新機能で、特別な設定をしなくてもデバイス間でカーソルを行き来させたり、ドラッグ & ドロップなどを行える。

Mac 側の操作で iPad のファイルを閉じたり、ホーム画面を操作することなどが可能になる。
Procreate で仕上げたグラフィックを Mac で使用したい時などに便利であり、これまで以上にシームレスな連携体験が得られそうだ。

「ユニバーサルコントロール」については、詳しい記事(Procreate、ユニバーサルコントロールで Mac とのシームレスな連携が可能に)を書いているので参照されたい。

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この記事は Procreate の対応プラットフォームや配信方法などに動きがあれば随時アップデートしていく。

最終更新日:2021年6月22日

Author:對川 徹 - Toru Tsugawa(https://tsugawa.tv/)

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