キーワードは 5G と AI=2020年に2億台以上の5Gスマホが出荷
Qualcomm は Snapdragon Tech Summit 2019 において、2020年のハイエンドおよびミッドレンジスマホに搭載される SoC「Snapdragon 865 / 765(G)」を発表。スペックや特徴を簡単にまとめてみた。
Snapdragon 865
- モデムを統合せずに性能重視
- CPU 25%高速(Snapdragon 855 比、以下同じ)
- GPU 25%高速
- AI エンジン(15TOPS)性能が2倍
- 省電力性能 25%向上
- 8K 30fps / 4K 120fps ビデオ撮影サポート
- Dolby Vision 撮影サポート
- 最大2億画素の写真撮影
- 下り最大7.5Gbps の通信速度(X55 モデム搭載時)
- Wi-Fi 6 / 11ax 対応
- 144Hz ディスプレイ対応
- 4K/HDR ビデオ撮影と同時に 64MP の写真撮影が可能
- Blueotooth 5.1 対応
- 120fps ゲーミング対応
- Google Play ストア経由での GPU ドライバー更新
- LPDDR5 メモリ対応
- バッテリ寿命を最大200日間延長する Quick Charge AI 搭載
Snapdragon 765
- 5G モデムをダイに統合(X52 モデム)
- 下り最大3.7Gbps の通信速度
- 865 と同じ第5世代 AI エンジン搭載
- GPU 20%高速(Snapdragon 730 比)
- 4K HDR ビデオ撮影対応(10億色以上、HLG, HDR10, HDR10+ サポート)
- 4K HDR ビデオストリーミング対応
- HDR10+ / HDR10 / Dolby Vision のビデオ再生サポート
- 最大1億9,200万画素の写真撮影
- バッテリ寿命を最大200日間延長する Quick Charge AI 搭載
- 主に GPU を強化したゲーミング向け Snapdragon 765G を用意(「G」はゲーミングの頭文字)
2020年前半には、Xiaomi、OPPO、Motorola などから Snapdragon 865 を搭載したスマートフォンが登場する予定だ。
Xiaomi はすでに、Snapdragon 865 搭載の「Mi 10」を2020年 Q1 に投入することを明らかにしている。さらに同社は、2020年だけでも10以上の 5G 接続デバイスを発売することを明言している。
今回の Qualcomm のアナウンスメントで興味深いのは、7シリーズの最新版「Snapdragon 765」の存在だ。
この SoC は処理能力や通信速度では、フラッグシップ向けの 865 に劣るものの、5G モデムを搭載していることから、2020年のミッドレンジスマホの多くが「5G 対応」になることを意味する。
加えて、AI エンジンに関しては、865 と同じ第5世代を搭載していることにより、音声から文章への変換をリアルタイムに行ったり、高度なカメラフィルタやデバイス単体で 3D アバターを動作させることなどが可能になる。
スマホ本体レベルで言えば、2020年は間違いなく「5G 時代」の本格的な幕開けとなりそうだ。
Qualcomm は2020年だけで、2億台以上の Snapdragon 搭載 5G スマホが出荷されると予想。さらに、2025年までに、28億台以上のモバイルデバイスが 5G に接続するだろうと予測している。
同社はスナドラ 865 / 765 以外にも、7基のカメラを同時にサポートできる VR / AR などの XR 用チップ「Snapdragon XR2」や、Arm 版 Windows 10 向チップ「Snapdragon 8c / 7c」もアナウンスした。XR2 は XR チップとして世界で初めて 5G に対応する。
また、ディスプレイ内指紋認証についても、2本指に対応する「3D Sonic Max」を発表した。認証面積は、従来の17倍にまで拡大する。
Qualcomm は 5G の普及とエコシステムの前進によって、クラウドゲーミングや個人向けの新たなコンテンツだけでなく、自動運転、ヘルスケア、製造、輸送などのエンタープライズや産業 IoT が大きな恩恵を受けるとしている。
仮に、あなたがスマホの買い替えを検討中で、急を要さないのであれば、2020年前半まで待つ価値が十分にあるといえるだろう。
日本でも2020年春から 5G の商用サービスがスタートするからだ。
さらに、日本政府は 5G 推進に向けて、設備投資するキャリア大手を税制面で優遇する方針を固めており、夏のオリンピックに向けて 5G 通信が一気に身近になる可能性が高い。
ハイエンドのスナドラ865搭載モデルにするか、ミドルハイの765搭載スマホにするか。私も2020年2月にバルセロナで開催される MWC で、じっくりと品定めをしたいと思う。
なお、iPhone に関しては、2020年秋まで 5G 通信が可能な新製品投入の可能性はまずないだろう。
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