Inkscape 1.0 正式版がついに公開=3年越しのマイルストーン

ついに Inkscape 1.0 正式版が公開

日本時間2020年5月5日未明、およそ3年に渡って開発が進められてきた Inkscape 1.0 の正式バージョンリリースがついに発表された。

Inkscape 1.0 正式版がリリース

macOS ネイティブ対応

対応プラットフォームは Windows、Linux および macOS。
macOS 版のみプレビュー版となっているが、次期アップデートでパフォーマンス面をはじめとしたいくつかの改良が予定されており、そう遠くないうちに正式版としてリリースされる見通しだ。サポート対象は OS X El Capitan 10.11 以降。XQuartz は不要となっており、文字通り "macOS ネイティブアプリ" となった。

バージョンは 1.0 というマイルストーンに達したが、これまで通り "完全無料" のベクターグラフィックソフト(基本のファイル形式は SVG)である。


Inkscape 1.0 新機能

Live Path Effects - Inkscape 1.0
Live Path Effects 選択ダイアログ

Inkscape 1.0 は、新しく改良されたライブ・パス・エフェクト(LPE)、高解像度モニタ(HiDPI)のサポート、カスタマイズ可能なユーザインタフェース(テーマやアイコンセット)、バリアブルフォントのサポート、スプリットビュー、Xray モードの追加など100超の新機能および改良が加えられている。

さらに、筆圧感知対応の鉛筆ツール(PowerStroke LPE を利用)、キャンバスの回転と反転機能、ピンチによるズーム(タッチパネルやトラックパッドのサポート)、ツールボックスの再編のほか、大幅なパフォーマンス向上が図られた。


Inkscape 1.0 ダークテーマ
ダークテーマとアイコンセットのカスタマイズ

その他のハイライトとして、エクスポートの改善(PDF 出力時にリンクやメタデータを実装可能)、Mac の Retina ディスプレイのサポート、原点 (x=0,y=0) が左上隅に変更されたことなどが挙げられる。

Inkscape 1.0 アップグレードの注意点

既存ユーザはアップグレード前に、古いバージョンを削除(アンインストール)しておくことが推奨されている(Windows ユーザは「設定」>「アプリ」>「アプリと機能」からアンインストールできる)。

Windows 版および Mac 版のシステム要件は、それぞれ Windwos 7 以降、OS X El Capitan 10.11 以降。サポートされる言語は20ヵ国以降で、従来通り日本語にも対応する。

1.0 のビルドは "4035a4fb49, 2020-05-01" とクレジットされている。なお、エクステンションは Python 3 互換となったため、非対応のサードパーティ製ツールを使用しているユーザは注意が必要だ。



Inkscape ロードマップ

今後の開発計画として、バージョン 1.1 でパフォーマンスの安定性向上およびいくつかの機能追加が予定されており、さらに、バージョン 1.2 ではリファクタリング(ソースコードの内部構造改善)が行われる予定だ。

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